令和版❤️店長のご飯

飲食店店長のご飯令和版です

第1回 店長飯塾 「エビ天を考える」

 

店長塾第1回「エビ天を考える」

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FBのフレンドの投稿で気になった
投稿があったので

いつもと趣向を変えて今回の
「店長のご飯」をお送りいたします

今回のテーマは「エビ天」です

なぜ、今回「エビ天」を取り上げたかと言いますと

FBのフレンドが

”天ぷらで有名な店で食べたエビ天が超デカくてインパクト大!”

的な内容で写真を投稿していたわけです

が、そのエビ天
私の目から見ても

「どこの素人が揚げやがったんだ?」

レベルのエビの天ぷらで
ちょっと天ぷらについてもっと考えてもらいたいなぁ

と言うことで「エビ天(天ぷら)を考える」

と題して記事を書いていきます

なぜ天ぷらにするのか?

さて、基本中の基本になりますが

なぜ、わざわざ衣をつけて油であげるのか?

と言うところから「エビ天」を考えて見ましょう

あなたは何故衣をつけて油であげると言う
めんどくさい行為を行うと思いますか?

しかも、ただ単に衣をつけるだけでなく
うどん屋蕎麦屋などでは

衣に花を咲かせるように
さらにめんどくさい調理を行います

何故でしょう?

 

 (最強に美味しいエビ天の見本は食品サンプルのエビ天である 店長談)

 

 

 

油であげる

では、まず油であげると言うことから考えてみましょう

油で揚げる調理法は基本的に

170度から190度くらいの
高温の油の中に食材を一気に入れて
調理する方法です

高温の油の中に放り込まれた食材は
ほぼ一瞬で表面に熱が加わり
表面の水分がなくなり

カサカサの状態になります

コレは、内部にまで熱を伝えないようにして命を守ろうとする
ホメオスタシスなのだろうと思います

このホメオスタシスを利用して
食材の表面にバリヤをはらして
食材の内側に水分や味の成分を濃厚に残すのが

油で揚げると言う調理法です

多分

衣をつける

で、油でそのまま食材を揚げちゃうと
カリカリで美味しいといえば美味しいのですが
あまり美味しくありません

水分が飛びすぎて170度とか高温になると
ホメオスタシスでは内部まで守りきれなくなるので
食材はカリカリになってしまいます

そこで、食材の水分を出来るだけ残したまま
旨味を残し、サクサクした歯ごたえを与えるのに
有効な調理法が偽りの表面をつけてあげて揚げる

衣をつける

と言うものですね

衣に花をつける意味

さて、旨味、水分を残して
美味しく食材を調理するには
偽りの表面が必要で

そのために衣をつけると言うことは理解できたと思います

うどん屋などの天ぷらには、さらに”花”を咲かせます

一体この花には何か理由があるのでしょうか?

理由を経験から、ざっと考えてみました

 

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1、食材を大きく見せれる

食材は熱を加えると水分が飛んでしまうので
やはり、多少なりと小さくなってしまいます

衣をつけて油で揚げると小さくなるのを多少は
防げますが

やはり見た目はしょぼくなります

そこで、花を咲かせることで
食材を大きく見せることができます

2、お出汁を効率よく吸わせれる

うどん屋での天ぷらは、基本的に
お出汁と一緒に天ぷらを食べます

”天ぷらうどん”や”天ざる”どちらも
お出汁で食べますよね?

まぁ中には天ぷらは塩って人もいるかもしれませんが

塩で食う天ぷらは、天ぷら屋さんで食べてもらうと
言うことで・・

で、

花を咲かせると
お出汁を効率的によく吸ってくれます

衣だけの天ぷらと
花を咲かせた天ぷらでは

全く吸水が違ってきます

つまり、天ぷらの美味しさも
お出汁の美味しさも
効率よく味わってもらえる

と言う事です

3、歯ざわりが良い

花を咲かせた天ぷらは、衣だけの天ぷらより
断然歯ざわりがよくサクサクと食べれます

旨味+歯ざわり

4、油料理なのに軽く感じる

天ぷらは油料理なので
食べると重たく感じますよね?

天ぷらとよく似た調理法でフライなんてありますが

フライものを食べると油料理の重たさを
より感じてもらえるでしょう

ですが不思議なことに

上手に天ぷらを揚げると
油料理なのに、この

油料理の重たさ

を感じなるなるどころか

油で揚げてるのに軽く感じる

と言う現象が発生します

わかりやすく言うと

エビ自体はそんなに多くは食べれないけど
かっぱえびせんなら一袋軽く食べれる

と言う感じでしょうか?

多分、知らんけど

FBのエビ天の写真

さて、話を一番初めに戻しましょう

もともと、今回の記事は

FBでフレンドが写メっていた天ぷらがあまりにもまずそう

と言う事で書き始めました

どのようにまずそうだったのかといえば

衣が団子みたいになっている!

です

ええ、私も生まれて初めてエビ天を揚げた時には
うまく花を咲かせれなくてしょぼくなったり

逆に花をつけすぎて団子みたいな天ぷらになったりしました

今ではお客さんから

「店長の天ぷらは美味しいね」

と言われるまでにはなりました

中には

「こんな美味しい天ぷらを揚げるには、どれくらいエビ天揚げたん?」

なんて聞かれます
聞かれた時には

「おまえは今まで食ったパンの数を覚えているのか?」

と聞き返しますが
まぁ、私らしくないくらい練習しました

それくらい練習していると
写真に写っている天ぷらをみただけで
美味いか不味いか
は、なんとなく判ります

FBのエビ天の写メをみて想像がつくのは

エビ天を大きく見せるため、多めの天粉を使っている
天粉は食材にまとわりつきやすいように濃いめのモノを使っている

濃いめの天粉を使っているので団子状になってしまう

出来るだけ天粉が多くついた状態で揚げたいために
浅いカサの油で揚げている

 

と想像がつきます

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通常の天粉の2倍くらいの濃度の天粉でエビ天を揚げてみた、衣が少々団子状になており油ぎれが悪いのがお判りいただけるだろうか?

さて、この想像がついた事と
先ほどの”衣をつける”と”花を咲かせる”で書いたことを
まとめて書いてみましょう

まず、団子になるくらいの量の天粉がエビについているのですから
衣の中のエビがカスカスになることはほぼ無いでしょう

ですが

花を咲かせる意味合いを考えると

団子状の衣では

サクサクした歯ざわりは味わえません
モソモソした非常に悪い歯ざわりになるでしょう

さらに、団子状の衣は油ぎれが悪く、非常に重たく感じる
天ぷらになります

同じく、綺麗に花を咲かせた天ぷらのように
天ぷらを軽く感じる事は無いでしょう

かっぱえびせん”と”揚げパン”
を食べ比べたくらいの違いはあると思います

そして、団子状の衣の天ぷらは、お出汁の吸いも悪く
お出汁を吸うくらいまで、お出汁に天ぷらをつけていると

衣はお出汁の水分を吸いすぎで衣は剥がれ

あなたの目の前には

茹でエビと、たっぷりの天カスが入ったうどん
があるだけになります

多分、それは”天ぷらうどん”とは呼べるものでは無いでしょう
多分

 

 

 

結論

団子状の衣のついたエビ天は

大きくは見えるが

味は悪く、歯ざわりもあまりよくなく
油ぎれが悪いので身体にもよくなさそうだし
食べた後にすげー胃もたれがする

と言うことになります

まぁ、好みは人それぞれなので

モソモソした歯ごたえの団子のような衣のついた
天ぷらが好きな人もいるかもしれないので

あまり悪くはいえませんが

天ぷらとは?
衣をつける意味とは?
なぜ花を咲かせるのか?

という意味合いをもっと考えて

大きさのインパクトのためだけに
天ぷらを揚げるような事は

やめたほうがいいんじゃ無いかなぁ〜

なんて思います